写真展『ロベール・ドアノーなどのヒューマニズム作品』の開催

 Art Gallery M84は、2017年4月17日(月)より写真展『ロベール・ドアノーなどのヒューマニズム作品』を開催致します。
 今回の作品展は、Art Gallery M84の第61回目の展示として実施する企画展です。
写真展『ロベール・ドアノーなどのヒューマニズム作品』は、フランスの戦後、戦前を代表する写真家ロベール・ドアノー、ブラッサイ、エドゥアール・ブーバなどのヒューマニズム溢れる作品に加えて、作家は不詳ですが同様な視点の作品や更に80、90年代の恋人たちを撮影したクロード・ノリなどで構成しています。フランス庶民の日常、女性や子供、パリの風物、恋人たち、極めてヒューマンなまなざしで表現されております。これらの作家はフランスのヒューマニズム派とも言えるでしょう。

作品はすべて伝統的なクオリテイを醸し出す銀塩印画紙で表現されており、一部はヴィンテージプリントの暖かさにも触れることもできます。コレクター必見、写真集に掲載されている作品や表紙になっている作品もあります。全てゼラチンシルバープリントで、28点を予定しております。尚これらの作家の写真集初版本なども展示致しますので、この機会をお見逃しないようにお楽しみ頂ければと思います。

●Robert Doisneau / ロベール・ドアノー
パリの通りやカフェで見られる様々な庶民の人々の何気ない普通の生活を撮影し、人間の生活をユーモアやほろ苦さを込め魅力的に表現、また遊んでいる子供達の撮影もライフワークの一つです。ドアノーの作品には写真家自身が持つ特有のユーモアや皮肉さが溢れていますが、常に人間愛に満ち、更に人間に敬意すら込めて被写体に接しているのです。アンリ・カルティエ=ブレッソンからマグナム・フォトに誘われましたが、ドアノーはそれを断ったのです。「私は物事をありのままに撮らない。こうあればいいと思う世界を撮っているのだから」というのがその理由である。
<ロベール・ドアノーの略歴>
1931年 アンドレ・ヴイニョーの助手となる。
1932年 独立。
1934年~1939年 ルノーの工場内記録写真を担当。
1945年~1947年 フランス共産党に所属し、左翼系の芸術家たちと交流。
1949年 ヴォーグ・フランス誌と契約。
1984年 レジオンドヌール勲章とChevalierの称号を授与。
1994年 81歳で死去。

●Brassai / ブラッサイ
写真家アンドレ・ケルテスに撮影術を伝授されたとも言われる。ハンガリーから1924年パリに移住。生活の為のジャーナリストとして執筆や職業写真家から人生は大きく転換。「雨や霧に濡れた路地や庭の美しさをとらえるため」そして「夜のパリを撮るため」深夜のパリを歩き回る。色鮮やかでいかがわしいパリ、 売春婦、ポン引き、売春宿の女将、 快楽を追い求める夜のパリ、これらの写真は有名な「夜のパリ(Paris de Nuit)」 というタイトルで1933 年に出版され、現在でももっとも有名な写真集の一つでもある。
<ブラッサイの略歴> 
1899年 ハンガリーの町ブラッショーに生まれる。
    3歳のとき父親がソルボンヌ大学で教鞭をとるため家族と1年間パリで暮らす。
    この時の経験が彼にとってパリが忘れられない町となったのであろう。
    ハンガリーへ戻った後、ブタペストのアカデミーで絵画と彫刻を学んでいる。
1920年 ベルリンに渡りジャーナリストとして働き、ファインアートを学んだ。
1924年 パリへ移住し、ジャーナリストとして働き、ケルテスの指南で写真を始める。
    パリを舞台にカメラマン、彫刻家、映画製作者としてフランスで有名になる。
1933年 最初の写真集 『Paris by Night / 夜のパリ』を出版し一躍注目を浴びる。
1984年 フランスのニースで死去。

●Édouard BOUBAT / エドゥアール・ブーバ
パリで生まれ、パリで暮らし、戦後のパリを撮り続けた写真家。1946年から写真を撮り始め、後に有名な写真エージェンシー『Rapho』に所属。1968年にフリーの写真家になり、何気ない日常の人々を美しく写真で表現していくだけでなく、日々を踏破したような、浮世離れした作品も多い。まるでその時と場所が特定できないほどだと言われている。アンリ・カルティエ=ブレッソン、 ロベール・ドアノーらと共に20世紀を代表するフランスの写真家の一人である。
<エドゥアール・ブーバの略歴>
1923年 パリのモンマルトルで生まれる。
1937年 工芸学校エコール・エスティエンヌでグラビア製版を学ぶ。
1946年 写真を撮り始め、後に写真エージェンシー『Rapho』で働く。
1947年 最初の写真、落ち葉の小さな女の子を月刊誌の為に撮影。
1951年 ラ・ヒューヌ画廊での4人展にブラッサイ、ドアノー、イジスと共に選ばれる。
    雑誌『レアルテ』のアート・ディレクターの目にとまる。
    同誌の仕事で世界各国を飛び回り、ルポルタージュ写真家としても名声確立。
1957年 世界写真作家シリーズ『海の抒情 Ode maritime』出版(平凡社)
1971年 アルル国際写真フェスティバルの主賓となる。
1995年 新宿の小田急美術館で写真展開催。
1999年 76歳で死去。

●Claude Batho / クロード・バトー
幼少時から父の小さなラボで写真を眺めていた。Beaux Arts de Parisでドローイング・ペインティングを学んだ後、Archives Nationalesで写真家として務め、結婚後は自宅をラボ化して、バスルームでプリントを行い、ベッドルームでリタッチを行った。テーマは一貫して「ライフスタイル」。自宅から見える風景、光が射し込む窓辺、テーブルの上の静物・食物、キッチ ン・ツール、ウォール・ウィンドウ・インテリアの断片、そして二人の娘たち。何気ない日常の中に垣間見える美空間。静物達の内なる声が聞こえてきそうな静謐な図版の数々。ノスタルジックな雰囲気と抜群のセンスである。
<クロード・バトーの略歴>
1900年 フランスで生まれる。
1956年 フランスのBibliothèque nationaleで働く。
1975年 Portraits d’enfants(子供たちの肖像)を出版。
1977年 写真展『物事の時間』préf. Irène (Schavelzon)
1977年 Galerie Agathe Gaillard, Paris。
1982年 パリ市近代美術館で回顧展開催。

●Claude Nori / クロード・ノリ
自らが代表を務める写真集専門の出版社「コントルジュール」の編集者であり、フランスの写真芸術界に多大な影響を及ぼしたアーティスト。ある日友人が新しい全自動のカメラを見せてくれた。このカメラによって彼は写真家ではなく写真と遊ぶ者となった。1970年代、自分の写真を満足な写真集として出版できる環境を見出せず、知人100人から50フランずつを借りて自ら出版社「コント ルジュール(逆光)」を設立。カバー・タイトル・タイポグラフィ・内容構成・製本・装幀等すべてにこだわり、以降数々の名著を刊行。
<クロード・ノリの略歴>
1949年 イタリアからの移民の子どもとして生まれる。
1968年 19歳の時にクラスメートの影響で写真を撮るようになる。
    自分ひとりで世界を表現できる写真を仕事にする。
1974年 パリで、新聞や著名な雑誌に写真が載るようになった。
    モンパルナスに写真の画廊を開いた。
1980年代の初 若いアメリカ人女性カメラマンと恋に落ちる。

●Tirage argentique d epoque / 作者不詳
パリの有名なクリニャンクールの蚤の市やカフェなど庶民の生活を切り取った作品の撮影年はおそらく戦後間もない頃、パリの事象だろう。撮影者は分からないがこれらはまとまった作品として束で保管されていた。作品にみられる時代掛かった厚いバライタ印画紙のクオリテイの類似、表現から同一作家のものと断定できよう。だがその表現やプリントの出来ばえはアマチュア写真を超えているようにも思える。ヴィンテージプリントだろう、作品にはその重厚な印画紙による時代の魅力がある。

【写真展概要】
名  称 : 写真展『ロベール・ドアノーなどのヒューマニズム作品』
作 品 数 : 約28点
作品販売 : 展示作品は、全て購入可能
主  催 : Art Gallery M84
協  力 : G.I.P.Tokyo
期  間 : 2017年4月17日(月) ~ 5月20日(土) ※休館日を除く
場  所 : Art Gallery M84
所 在 地 : 東京都中央区銀座四丁目-11-3 ウインド銀座ビル5階
電  話 : 03-3248-8454
開館時間 : 10:30~18:30(最終日17:00まで)
休 館 日 : 日曜日
入 場 料 : 700円
URL : http://artgallery-m84.com/?p=3893

<写真展『ロベール・ドアノーなどのヒューマニズム作品』代表画像>
Aヒューマニズム作品
以上

このエントリーをはてなブックマークに追加