飾りたいと思う写真展「アートの競演 2020明春」』において、写真を芸術として創作した約40点の作品を展示した中から3賞(M84賞、G.I.P. Tokyo賞、フレームマン賞)を決定致しました。
今回の作品展は、Art Gallery M84の第93回目の展示として実施した一般公募展。一般公募展は同ギャラリー開設1周年を記念して開催した写真展「人それぞれ」(2014年7年21日~)から始まり、名称を写真展「アートの競演」に変更した後は、年2回の開催を実施。1800年代末期の欧州で、写真はその記録性のみが注目されて、芸術作品としての認識や評価はなされておりませんでした。日本の現写真分野において芸術作品の位置付けがどの様になっているのだろうかと考えるきっかけになればと思って開催しております。前回から作品が如何にアートであるかをオープニングにて語る事を募集要項に加えました。
作品をお部屋に飾りたい、又は収集して眺めたいと思う作品が見つかるかもしれないのが飾りたいと思う写真展『アートの競演2020明春』です。部屋に飾りたいと思って作品を観るのと、単に作品を眺めるのでは違うのです。作品を飾ろうと決めたら、考えることや気づくことが沢山あります。ご来場のお客様からは、作品の不思議さに驚いて、これも写真ですか?とのご質問が多いです。旧来の概念を超えて、「感じたものを、心に思うものを表現しても良いんですね。」と言う方など、お客様ご自身もやりたいと思ってもらえているようです。
●M84賞
【作品】Title : Sui Sha190606Uminomo〜”Ryugu flower garden”
Shooting : 2019、Printed : 2019、Editon : Open、Signature : Yes、Image Size : 305 x 373㎜、Print Paper Size : 345 x 422㎜、Media:Awagami 楮 厚口、Print Method : Digital Pigment Print、Mat size : 348 x 420㎜、Frame size : 368 x 444㎜
1)どんな点がアート(一番最初、又は ありふれていない)なのか?
1ミリにも満たない厚さのこの和紙に、太平洋という壮大な海、育まれた生物と、
その時間がたたみこまれている。この写真にうつした形あるものが、ものの形を
なくして変容し、新しいそのものになる。すでにある状態に、すこし変化を加え
ることで、全く別の側面を見ることになる。SuiShaの魅力である水彩画のような
みずみずしさが、和紙という素材の質感に透ることで、やわらかさと包容力が
生まれているようにも感じる。
2)飾りたいと思って貰える点?
華やかな表情がこころに響いて、喜びがあふれてくるRyugu flower garden。
言葉よりも先に、なんだか好きだな、と思ったら、それは本当に好きということ
なのです。観る ひと・とき・ところ それぞれと、ハーモニーを奏でます。
【選評】自然の海藻を、グラフィカルに表現した作品である。和紙にプリントしたことにより色彩の染み込み感が水彩筆で直接描いた様な仕上がりになったと思う。色合いが部屋を明るくするので飾りたい写真です。作品の中に妖精が見えると言う。何が見えるかは、観る人によるが、絵には、抽象画と言われる世界がある。今までの写真には、無かった世界である。抽象写真画の先駆者となる勢いを感じる。
【作家】冨田 陽子(トミタ・ヨウコ)氏
宮崎県出身 interior coordinator
2007年 +COCOCHI開業 現在に至る
マンションや戸建て住宅のモデルルームコーディネートに長く携わる中でインテリアティスト、部屋のストーリーにあうアートを探すことも多くアートがもたらす空間への影響力を実感してきた。写真については、高校生の頃、アルバイトで得たお金でフイルムを買って家にあったカメラでクラスメイトを撮り始めたのがはじまりでインテリアの仕事をするようになってからは室内写真を撮るばかり。山へ行くようになってその対象は室外へと移った。そして今、対象の周辺に漂っていたであろう無意識を拾って表現することへと楽しみが変わった。空間は、とある意識の入れ物だ。マトリョシカのように全体であり一部であるような。
【受賞歴】
2019年07月 写真展『アートの競演 2019涼月』M84賞&フレームマン賞受賞
【展示歴】
2014年07月 写真展『人それぞれ』Art Gallery M84(東京・銀座)
2015年01月 写真展『人それぞれのアート』Art Gallery M84(東京・銀座)
2015年07月 写真展『アートの競演 2018初夏』Art Gallery M84(東京・銀座)
2016年01月 写真展『アートの競演 2018初春』Art Gallery M84(東京・銀座)
2016年07月 写真展『アートの競演 2018文月』Art Gallery M84(東京・銀座)
2017年01月 写真展『アートの競演 2018睦月』Art Gallery M84(東京・銀座)
2017年07月 写真展『アートの競演 2018葉月』Art Gallery M84(東京・銀座)
2018年07月 写真展『アートの競演 2018泰月』Art Gallery M84(東京・銀座)
2019年01月 写真展『アートの競演 2019寒月』Art Gallery M84(東京・銀座)
2019年07月 写真展『アートの競演 2019涼月』Art Gallery M84(東京・銀座)
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●G.I.P Tokyo賞
【作品】Title : June in the city / 都会の6月
Shooting : 2019、Printed : 2020、Editon : 1/20、Signature : Yes、Image Size & Print Paper Size : 180 x 273㎜、 Media:Waxed Woodfree paper、Print Method : Digital Pigment Print、Mat size : 346 x 422㎜、Frame size : 366 x 443㎜
1)どんな点がアート(一番最初、又は ありふれていない)なのか?
17世紀イギリスの詩人ジョン・ダンの作品「別離・窓ガラスの我が名に寄せて」に
インスパイアされて作ったシリーズの中の1点。 窓ガラスごしに見つめ合う二人の
姿がガラスと瞳の乱反射により混然一体となる様を描いた詩の世界を、現代の日常
風景に求めた。プリントには蝋を染み込ませて、ガラスの透明感を表現した。
2)飾りたいと思って貰える点?
プリントは汚れた窓ガラスをイメージして、あえて表面をラフに仕上げてある。蝋を
かけるのは手作業なので、同じ絵柄でもそれぞれ微妙な違いが出る。オブジェとして
の存在感にこだわった写真は、飾る部屋に非日常をもたらすと思う。
【選評】中世の街並かと思わせる雰囲気が漂ってくる不思議な空気感を持つ作品である。画像をずらして重ねプリントした後に、プリントの表面に手作業で蝋をかける試みは従来の写真とは異なる味わいを醸し出しており飾りたい作品である。しかしフレームが貧相で作品とマッチして無いのが残念である。
【作家】福岡 陽子(フクオカ・ヨウコ)氏
栃木県出身
青山学院大学文学部第二部 英米文学科卒業
2007年 東京写真学園レベルアップフォトレッスンコース終了
2010年4月より2014年3月まで写真家 松本路子氏のワークショップに参加
【受賞歴】
2010年05月 東京写真月間『写真の日 記念写真展2010』自由作品部門 入選
2013年09月『INTERNATIONAL PHOTOGRAPHY AWARDS 2013』
Non-professional still life部門 佳作受賞
2015年02月『御苗場vol.16横浜』エプソン賞受賞
2017年01月 写真展『アートの競演 2017睦月』フレームマン賞受賞
2018年10月『INTERNATIONAL PHOTOGRAPHY AWARDS 2018』
Non-professional architecture:Cityscapes / Urban部門 佳作受賞
【展示歴】
2010年01月 個展『世界パズル』 ギャラリー・ニエプス(東京・四谷)
2011年11月~2012年6月 個展『本の街から』本と街の案内所(東京・神田)
2015年04月 個展『本と物語、または時間の肖像』森岡書店(東京・日本橋)
2017年01月 写真展『アートの競演 2017睦月』Art Gallery M84(東京・銀座)
2019年03月 個展『Biblioscenery / ビブリオシナリー』Art Gallery M84(東京・銀座)
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●フレームマン賞
【作品】Title : urban
Shooting : 2020、Printed : 2020、Editon : 1/3、Signature : Yes、Image Size : 106 x 155㎜、Print Paper Size : 108 x 157㎜、Media:ピクトラン局紙、Print Method : Digital Pigment Print、Frame size : 348 x 424㎜
1)どんな点がアート(一番最初、又は ありふれていない)なのか?
時間は今も刻々と過ぎるのに、何をどう変化させたら心地いいものになるのだろう
か? 曖昧なのに、リズムは刻まれる都会の喧騒街は、美術館のように見えているの
に気がつかない視点を持つことの素晴らしさを気づくような写真だと思います。
ただ、髪がなびくのではなくマリリンモンローのように上へ立ち上がった瞬間を捉
えました。
2)飾りたいと思って貰える点?
ポスターやポストカードのような感覚。どこの場所だろうか?と想像させるように、
心地よい空間のバランスを持っている作品だと思っています。
【選評】ドアノーは、ブレッソンからマグナム・フォトに誘われたが、「私は物事をありのままに撮らない。こうあればいいと思う世界を撮っているのだから」と言って断った。この作品も駅のホームを美術館に見立て、観客の髪が立ち上がる様に気心の知れた娘さんを演出したこうあればいいと思う世界を表現した作品である。マットの白い部分が比較的多いのも新鮮であり部屋に飾りたい。プリントの位置がマットのセンターでは無く、ほんの少し上げると落ち着く。
【作家】Junko Sakamoto(サカモト・ジュンコ)氏
2016年より公募展などをきっかけに写真家として活動を開始。
collageデザイン画の作家活動など。
【受賞歴】
2016年05月 Instagram ブリジストン主催フォトコンテスト『ONIBUS COFFEE賞』受賞
2017年04月 Instagram 綾鷹主催フォトコンテスト『おもてなし綾鷹賞』受賞
2017年05月 Instagram 小林製薬主催フォトコンテスト『Sawaday優秀賞』受賞
2017年11月 Instagram Nader主催第一回「#写真展」(テーマ:アーリーオータム)入選
【講師歴】
2019年08月 Workshop『光りと影のポートレートアート 』海、展望台周辺(石川・加賀)
【展示歴】
2016年12月 Foxy『Art Exhibition』GALLERY bar渋谷(東京・渋谷)
2017年11月『フイルム写真展』東京CAMERA(東京・秋葉原)
2018年04月 写真展『#film is not dead』Design Festa Gallery(東京・原宿)
2018年08月 写真展『駄カメラ』iia gallery(東京・小伝馬町)
2018年09月 写真展『FILM LOVERS』Nader(東京・青山)
2018年10月 写真展『狂子』Design Festa Gallery(東京・原宿)
2019年01月 写真展 NHK BS『Tokyoディープ』アウラ舎(東京・押上)
2019年01月 写真展『コイスル♡セカイタビ』Space K代官山(東京・代官山)
2019年03月 写真展『フイルムレポート日本、海外発信』Original Wolfen(東京・銀座)
2019年04月 写真展『フォト茶Vol.01』iia gallery(東京・小伝馬町)
2019年08月 写真展『フォト茶GR』iia gallery(東京・小伝馬町)
2019年09月 写真展『リニユーアルOPEN記念xRUTTEN』東京CAMERA(東京・秋葉原)
2019年10月 写真展『写真と小説』PaperPool(東京・祐天寺)
2019年11月 個展『holidays』Space K代官山(東京・代官山)
以上